本の感想 マリみて
俺妹からライトノベルに入った私が次に何を読むか考えた結果、ライトノベル界を舞台にしたライトノベルのオススメから選んだ、先鋒がこれです。
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「ごきげんよう」の汎用性の高さに普段使いしたくなるけど、実際使うのは勇気が要るなあ。などと考え出すほどハマった。全体に流れるリリアン女学園の特有の空気が好き。その中にどっぷりと浸る快感。
ライトノベルを数えるほどしか読んでいないけれど、マリみてのように、地の文がある程度長いほうが没入感が得られて私は好きだ。会話文が続くよりは、地の文の方で詳細を想像しやすい。
お嬢様学校の話だからか、のんびり、ほっこりした気分になれる。出てくる子はお金持ちもいるけど誰も携帯電話をもっていなくて、家から家へドキドキで電話かけたり、待ち合わせしたり、出くわしたり。ピュアな女子高生がまぶしい。
刊行が古い順から読んだ。「レイニー止め」を体験するため、「レイニーブルー」から「パラソルをさして」を買うまで2ヶ月近く空けましてよ。だけどタイトルと表紙からして、仲直りできるのは直感できるから、あまりやきもきはしなかったかな。
二人はすれ違いしてただけ。そんなの分かりきってるんだけどね。祥子さまの態度について紐解かれるまでを引っ張る過程がとても良かった、パラソルをさして。
私はラストの場面よりむしろ、祐巳の中等部の担任との会話シーンが感動的だった。仕事帰りの電車で読みながら、涙をこらえ本を閉じ、開いてまた涙ぐんで閉じ、結局続きは家で読んだ。
リリアンOGの「不良ね」に「正直者なだけですよ」と聖さまが返す会話が、かっこよくて印象に残った。映画のようなワンシーンが浮かんできた。
あと、志摩子がらみの話が好き。
ていうか志摩子が好き。海に向かって何か叫べって言われたら、今なら「志摩子ー!」って言うと思う。
最初は、銀杏拾いの好きなゆるふわお嬢様って印象しかなかったけれど、聖さまから続く白薔薇ストーリーを読んでいくと段々、志摩子の深みにはまっていく。
ファースト デート トライアングル/片手だけつないで/銀杏の中の桜/ロザリオの滴
と収録が切れ切れだったけれど、志摩子を焦点にしたそれまでの話が一直線に重なって、「ロザリオの滴」のラストシーンは本当に良かった。これも鼻をすすり上げながら読んだ思い出。
バレンタインの宝探しをめぐるエピソードのひとつ「紅いカード」は切なくて好きだ。祥子さまのクラスメイトの鵜沢美冬の健気さにやられた。彼女の話、もっと読みたい。
実は由乃がいないとダメダメな令ちゃん、で結局落ち着くのがパターンなんだけど、夫婦喧嘩の収束に至る過程を見るようでおもしろい。
「黄薔薇革命」の終盤、手術の痕を令に見せるシーンが、マリみて中一番の百合シーンだと今のところ思っている。二人だけの勲章を認め合うなんて、なんとエロティックなことよ。百合の定義は人それぞれだと思うけど、心で固く通じ合う二人のシーンは、めまいがするほど百合だった。
で、パラソルをさして以降も読むかどうか、ちょっと考え中。
祐巳と祥子さまが真に両想いになったことで、ひとつ満足してしまった感がある。
これから先、祐巳と祥子さま、志摩子と乃梨子のラブラブは見られるのか。
切ない話、ほっこりする話が好きだけど、以降も期待できるのか。
それから写真部の蔦子さんが好きなので、彼女が出てくる話を読みたい。
方々のレビューとにらめっこしながら、「歯抜けで読んでいって、祥子さまの卒業まで追う」というのをプランのひとつとして描いているけど、だったら全部読もうかなという考えも捨てきれず。もうちょっと悩んでからにしようかな。